遠野有希さんの歴史

私は、4,5歳の頃から誰彼構わず「好き! 結婚して!!」と言うタイプでした。「結婚は、好きな人とするものだ」と親から教えられていたので、結婚すれば一緒にいるから、遊ぶ時間も増える! という程度の認識でした。

 

 そのときに使っていた「好き」が、周りの「好き」とずれているのでは? と気づき始めたのが、小学高学年の頃。学校の同級生や先輩、後輩の中から「○○と△△は付き合っている」「あの人が好き、あの子と付き合いたい」という話が出るようになって、「付き合う…? 『付き合う』とは……!?」と疑問に思ったのです。

 

 それから周りに聞きに行ったり、本で調べたりして、どうやら「うまい棒が好き」や「友達として好き」以外にも別の「好き」があるらしいという結論に辿り着きました。ただ、その時は「恋愛感情を持たない人もいる」という知識が全くなかったし、人の話や本にも出てこなかったので、よく分からないまま完結させていました。

 

 友愛感情と恋愛感情の違いもろくに分からないまま高校生になり、「性別関係なく周りの人みんなが好きだから、私はバイセクシャルかパンセクシャルなのだろう」と考えるようになりました。それでもどこか違和感は拭えませんでした。

 

 そうしてその自認を持ったまま成人を迎えた辺りで「いや、これはなんか違うような気がする」と思い至った私、ネットで『恋愛感情 ない』で調べてみました。すると、出てきたのが『アセクシャル』でした。

 その言葉を目にしたときに、小学生の時に調べまくったことや、高校生の時に別の自認をしつつも腑に落ちなかったことなど、長年引っかかっていたことが一気に解けていきました。

 

 「そうか、私は『アセクシャル』だったのか!」